30代・40代子育て世代の資金について

 先の見えない今の時代、お金の悩みはつきませんね。聞きたいけど聞けない、基本のお金の話ってありませんか?当記事のライターは、子ども3人を抱える働くママ。今回はファイナンシャルプランナー(FP)として活躍中のマイケル岡田先生に、子育て世代のリアルな疑問にお答えいただきました。

FPは人生設計のお手伝い役

マイケル先生はFPとしてご活躍中ですが、どのような相談事が多いのですか?

 私は主に、中長期的な視野で人生設計のアドバイスをしています。今回のテーマである教育資金をはじめ、老後の資産運用・相続対策などさまざまなお悩みにお答えしていますよ。最近はコロナの影響による失業や収入減で、深刻な経済状況のご相談をされる方が増えました。

ご自身が感染し、身体の不調が続く後遺症で仕事もままならないといった方もおられました。
私は産業カウンセラーの勉強をしてるので、傾聴を意識し、クライアントのお話をじっくり丁寧にうかがうことをモットーにしています。より良い解決策を一緒に考えていければと思っていますので、今日はなんでも聞いてくださいね。

鉄則:固定費の見直しはひんぱんに

貯蓄のできないダメな私…。家計の見直しは、具体的にどこから始めればいいですか?

 まずは、固定費の見直しをしましょう!
中でもスマホ代は、すぐに節約できる項目として挙げられます。最近では大手キャリアも値下げ傾向にありますが、相談者の中にはまだ毎月何万円も払っている家庭が見受けられます。面倒がらずに、ご家庭にとって最適なキャリアやプランを選んでみてください。

保険料の見直しも効果的です。「どんな保険がいいの?」といった相談も多いですが、世帯収入や資産の有無、家族構成などによって、選ぶべき保険は全く異なります。本来なら、保険は毎年見直しをするべきもの。しばらく見直しをしていないというご家庭は、FP相談会や、複数の保険会社の商品を選べるショップなどへ足を運んでみてはいかがでしょうか。

子育て世代のお金問題。どれがいいの?貯金・学資保険・投資

子どもが成長するにつれて、習い事や塾の費用を見るたび大きなため息。大学卒業までに子ども1人につき1,000万円が必要とはよく聞きますが、皆さんどうやってそんな金額を用意しているのでしょうか?

 教育費として、毎月決まった金額を積み立てているご家庭が多いですね。ただし、超低金利時代の現在は、単に銀行へ貯金するのはもったいない。ひと昔前は教育資金として定期預金に毎月貯蓄したものですが、今はそれに代わって投資信託を利用する方が増えています。とはいえ、はじめての投資となると「知識がなくて不安」「一体どこの商品を買えばいいの?」と二の足を踏んでしまいがち。

そんな投資初心者にはロボットアドバイザーがオススメです。利用者の資産状況や指向性をAIが分析し、それぞれに適した資産運用を提案してくれます。また、ほとんどのロボアドバイザーは、リスク回避のために中長期での資産運用を目的としています。10年後・15年後の教育資金として活用するのに向いているといえますね。
参考記事→ 
マイケル先生が語る「マネープラン・投資について知っておいた方が良いこと」

https://japan-baton.com/334/

学資保険も根強い人気です。毎月自動的に引き落とされるため、貯蓄が苦手な家庭には特に向いているでしょう。保護者(契約者)に万が一のことがあった場合は、それ以降の保険料が免除になるのも安心。医療保険が付いている便利な商品もあります。 ただ、昔は高かった返戻率は下降の一途をたどっており、学資保険だけで教育資金をまかなうのはほぼ不可能な状況。大学の授業料も、国公立と私立の差が変わらなくなっています。

学資保険はあくまで「併用品」として考え、やはり投資信託などで賢く資金を増やす積極性が必要ですね。
また、オリンピック閉会後、開催国の経済が不況へ突入することはよく知られています。株式運用にチャレンジしたい方は、2021年秋の今はまだ「買い」じゃない。もう少し相場を見てから動き出すことをアドバイスします。

マネー教育の第一歩・おこづかい問題。先生はどう思う?

ママ友との間でよく話題にあがるのが「おこづかい事情」。小学校に入ってから?いくらあげたらいいの?正解が分かりません…。

 おこづかいを渡すと決めたなら、まずは「おこづかい帳」をつけさせましょう!お金の出入りを認識し、実感としてお金の使い方を身に付けることが、本来のおこづかいの目的です。また、お年玉や誕生日など、臨時収入は子どもに渡さないことですね。毎月・毎週の決まった金額でやりくりする経験を積み重ねることが、子どものマネー感覚を養うことにつながります。

何歳から渡せば良いのか・金額はいくらが妥当かなど、保護者の悩みは尽きないでしょうが、正解はありません。個々の家庭の事情や価値観にあわせて、柔軟に考えていいと思いますよ。
例えば、私はすでに独立した娘と息子に対して、今でもクリスマスに図書カードを贈っています。本を読むことは人生の糧になるというのが私の持論。自分が成長し続けるために、書籍代にはお金をかける方針です。そんなふうに、保護者の「お金に対する考え方・使い道」を子どもに伝えるツールとして、おこづかいを捉えてみてはいかがでしょうか。

「公助」よりも「自助」の意識。超高齢化社会を生き抜くためのちからを

お話に出てきた「マネー教育」。最近よく耳にする言葉です。子どものうちからお金の勉強が必要なのはなぜですか?

 2025年問題はご存知ですか?この年、「団塊の世代」800万人全員が後期高齢者となり、国民の4人に1人が75歳という世界に類をみない超高齢化社会をむかえます。

そんな状況下、国や地方自治体による福祉サービス=「公助」をアテにしてはいけません。すでに政府は「自助」を方針とする政策を打ち出しています。乱暴な言い方になりますが「自分の老後は自分で面倒を見ろ」ということですね。実際、働く世代の人口減少により税収が増える見込みのない現代日本で、国による手厚い社会保障が実現する見込みはありません。加えて昨今のコロナ対策として、給付金等に莫大な税金が投入されており、このさき一体どのような将来が待ち受けているのかまったく見当がつかなくなりました。
大人は少しでも多く、自分のお金を増やすことを考えましょう。最初に紹介した投資信託や株式投資といった資産運用は、教育資金としてだけではなく、ご自身の老後への備えとしても必要なこと。子どもたちも早いうちからお金に関する知識を得て、「お金を稼ぐこと」「働くこと」について深く学び、考える力を養うことが求められています。そのためにも「おこづかい」は、家庭でできる絶好のマネー教育ですね。

他人事じゃない!「育児」と「介護」の二重負担・ダブルケアの深刻な問題

これも「自助」が進むひとつの結果でしょうか。子育てに加えて、高齢の親御さんのお世話があって大変という話を友人から聞いたことがあります。そのお友達はダブルケアの状況にあるんですね。ダブルケアとは子育てと親の介護が同時期に発生することで、大きな社会問題となっています。内閣府男女共同参画局の調査によるとダブルケア人口は約25万人いるといわれており、今後も増加傾向にあります。

ダブルケアの最も大きな問題点は、子どもの保育•教育費に加え、ご両親の医療・介護関連の支出という経済的負担を、現役世代が一気に背負ってしまうこと。通院や介護に要する拘束時間が増え、思うように仕事ができなくなり、収入が減ってしまう悪循環におちいる場合も多くあります。

実際の育児・介護の労力の負担は、女性側にしわ寄せがかかることが多いのも課題。私がご相談を受けた方の中には、ダブルケアの体力的・精神的疲労により心の病気をわずらい、離婚や退職にいたったケースもありました。
もし、ご自身が育児・介護の問題に直面した場合、まずはお住まいの市区町村役所の福祉課へ足を運んでください。一人ではどうにもならない状況をむかえる前に相談しておくことで、福祉の目に留まりやすくなる利点があります。
家庭の問題を外の人間に話すのは恥ずかしいという価値観もあるでしょう。しかし、当事者からの発信がなければ、自治体職員や地域のみまもり機関が家庭内の課題を発見することは難しいのが実情。見落とされた結果、受けられるはずの支援制度を逃してしまうことにもつながってしまいます。
また、地域には、ケア問題を支援するNPO法人や、介護家族のネットワークづくりに尽力しているボランティア団体がたくさんあります。メール相談などを受け付けているところも多く、行政の窓口よりも気軽さがあるかもしれません。そちらも調べてみると良いですね。
何はともあれまずは情報を得ること!介護休暇などお勤め先の制度も調べておくと、いざというとき焦らないですみますよ。周囲にアンテナを張り、一人で抱え込むことがないよう、支援の手を大いに活用してください。

マイケル先生から皆さんへ

 コロナという未曾有の危機に直面する今、困りごとや心配ごとを抱える人が本当に多くなりました。そしてネットには真偽の定かでない情報があふれ、いったい何を・どれを頼っていいのかも分からない時代です。そんな中、私は、正しい知識を発信し、誰かの支えとなるようなFPでありたいと常に願っています。

感染防止のためあらゆるもののオンライン化が進んでいますが、対面でのマネー講座や相談会の機会も徐々に増やし、相談者さまと信頼関係の築かれたライフプランニングを目指していきたい。これからも自分の引き出しを増やし続け、どんなご相談にも対応できるよう精進していきたく思っています。どうぞ安心してご相談にお越しください。

マイケル岡田先生
 本名は岡田裕之。大手通信会社で人事労務を長年担当。退職後、社会保険労務士事務所を開業した労務問題のエキスパート。FPとしてライフプランアドバイスなどもおこなう。

相談員(マイケル岡田)がアドバイス。
相談料は3,000円。
メールokada-office@tokyo.eeyo.jpまでご連絡ください。

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