認知症の母を「ふみこさん」と呼ぶようになりました
認知症の母の介護をして3年経ちます。後ろめたさのようなものを抱えながら、母のケアはときに罪滅ぼしのようでもあり、もどかしさで八つ当たりのような気持ちになることもあります。5年間にわたるお母様の介護の日々、日常の会話や出来事を詩にした池下和彦さんの『母の詩集』(童話屋)に出会いました。
「居住まい」という一篇。お母様が自分のことを「わたし」ではなく「うたこ」と名前で言う。自身のものでも家族のものでもなくなることで、お母様との距離がなくなる。池下さんは居住まいを正して、「うたこさん」と呼び掛けるという内容です。うちの母も自分のことを「ふみこ」と言います。
母は、母でも妻でもない、ほかでもない自分として生きているんですね。この詩集には、敬意を持って「うたこさん」と呼び掛ける、池下さんのお母様に対する愛情があふれています。ときおり開く詩集になりました。(architectakiさん)
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